手に入るだろう


「どうした」少年の声に切迫したものを感じて、スパーホークは身を起こした。
「外に何かいるよ」
「わかってる。狼だ」
「違うよ。狼が二本足で歩くようになったっていうなら別だけど」
「何がいたんだ」
「木の陰にいてはっきりとは見えなかったけど、ローブみたいなものを着てた。あんまり身体にぴったりしてないやつ」
「シーカーか」
「わかるわけないじゃない。ちらっと見た銅鑼灣 髮型屋だけなんだよ。森の端まで来て、また木陰に逃げこんじゃったんだ。顔のあたりが光ってなかったら気がつかなかったよ」
「緑色に?」
 タレンがうなずく。
 スパーホークは悪態をつきはじめた。
「汚い言葉のねたが尽きたら言ってよ。おいらの在庫は豊富だから」
「ティニアンには知らせたか」
「うん」
「おまえ、外で何をしてた」
 タレンはため息をついた。
「常識がないなあ」その口調は年齢よりもかなり大人びていた。「盗賊ってのは、二時間おきに目を覚ましてあたりを見まわるものなんだよ」
「それは知らなかった」
「知っとくべきだったね。不安だけど、楽しい生き方なんだ」
 スパーホークは片手で少年の首のあたりを叩いた。
「いつかおまえに普通の男の子らしい生き銅鑼灣 髮型屋方をさせてやるからな」
「どうしてさ。そんな時代はもう卒業しちゃったんだよ。事情が違ってれば駆けまわって遊んでられたろうし、それはそれでいいもんだろうけど、そうはならなかったわけだし、このほうが楽しいもん。寝てていいよ、スパーホーク。そいつのことはティニアンとおいらが目を光らせてるから。そうそう、明日は雨になるよ」
 翌朝は重苦しい雲が頭上にかかっていたものの、雨は降っていなかった。正午ごろ、スパーホークは手綱を引いてファランを立ち止まらせた。
「どうしました」クリクが尋ねた。
「あそこの小さな谷間に、村があるようだ」
「こんな森の中で何をしてるんですかね。畑なんてなさそうだし」
「訊《き》いてみればいいさ。いずれにしろ話を聞きたい。ヴェンネよりもガセックに近いわけだから、もう少し鮮度のいい情報が。好きこのんで猪突猛進することはない。カルテン」
「何だい」
「しばらくみんなと先に行っててくれ。クリクとおれはあの村へ行って、少し話を聞いてくる。すぐに追いつくからな」

「わかった」カルテンの口調はぶっきらぼうで、やや不機嫌そうだった。
「どうかしたのか」
「どうもこの森は気がふさぐ」
「ただの木じゃないか」
「わかってるけど、どうしてこんなにたくさんあるんだ」
「しっかり目を開いておけよ。シーカーがこの付近にいるぞ」
 カルテンの目が輝いた。剣を引き抜き、親指で切れ味を確かめる。
「何を考えてる」スパーホークが尋ねた。
「あいつをおれたちの背後から永遠に葬り去る、いい機会だと思って。オサの虫けらはがりがりに痩《や》せてるから、一撃でまっ二つにできるだろう。ちょっと隊列を離れて、独りで待ち伏せしてみるかな」
 スパーホークはすばやくその案を銅鑼灣 髮型屋検討する様子を見せた。
「悪くない。だがみんなを安全な場所まで先導する人間はどうする」
「ティニアンがいるさ」
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